伊賀焼
認定品について ~三重ブランド「伊賀焼」とは~
伊賀地域(主に島ヶ原地域)で採取される「伊賀陶土」を使用し、伝統的な技術、技法を活用して、伊賀市、名張市で生産される陶器は「伊賀焼」と称されます。
伊賀焼は、伊賀市槇山西光寺窯跡、同市丸柱寺谷窯跡の調査等から16世紀後期の築窯が確認され、茶道が興隆した室町末から桃山時代の茶人達は「歪みたるもの」・「へうけもの」の美を伊賀焼に求めました。茶陶窯としての伊賀焼は、「水差、花生は伊賀に優る物なし」とされ、日本の至宝として高い評価を受ける。しかし江戸期に入って以降は、茶道の動向と作風変化に対応することが出来ずに、伊賀焼の窯煙は一旦途絶えてしまいました。
その後に、江戸中期に復興し、行平鍋、土鍋、土瓶といった耐熱厨房食器や日用雑器を焼く産地へと変貌し、現代に至るまで「伊賀陶土」の特性を生かした耐熱食器の産地として、その伝統は受け継がれ続けている。
「伊賀陶土」とは、300万年~400万年前に堆積した古琵琶湖層に由来します。このうち蛙目(がいろめ)粘土は、粘土の他に炭化した植物と粗粒の珪石を多く含み、焼成するとポーラス(多孔性)な素地となり、耐火性・多孔質性・蓄熱保温性・吸水性・遠赤外線効果に優れるという特徴があります。
また、木節(きぶし)粘土と呼ばれるものは、非常に細かい粘土と炭化した植物からできており、水と混ぜると可塑性が良く、非常に耐火度が高いという特徴を持つ。
長谷製陶が評価されたポイント
Point1
地域の資源である伊賀陶土の特徴(主に島ヶ原地区の古琵琶湖層からとれ、蓄熱性・耐熱性・放熱性・吸水性・遠赤外線効果が高い)を引き出す付加価値の高い商品作りを行っている。
Point2
伝統的な伊賀焼に独自の工夫を加え、現在の生活様式に合わせた土鍋を提案することで新たな需要の開拓をしており、市場においても長期間にわたり高い評価を得ている。
Point3
自社だけでなく、地域全体の伊賀焼の振興のため、ギャラリーを設置し、地元陶芸家などの作品展示や販売を行っている。
Point4
毎年5月に開催する「窯出し市」では、県内外から多くの来場者を集め、地域の一大イベントとなっており、多くの事業者が参加し、伊賀焼の消費拡大に貢献している。
Point5
東京にショールームを開設しているほか、百貨店等多くの取引先を有し、全国に向けて伊賀焼の認知度向上に貢献している。
「伊賀焼」のブランド認定に関する考え方
長谷製陶株式会社を認定事業者として「伊賀焼」を三重ブランド認定する際の評価ポイントに鑑み、今後の他事業者による「伊賀焼」の三重ブランド認定審査に際しては、特に以下の点に留意することとします。
①地域の素材である伊賀陶土の特徴(主に島ヶ原地区の古琵琶湖層からとれ、蓄熱性・耐熱性・放熱性・吸水性・遠赤外線効果が高い)を活用した伊賀焼製品であること。
②伊賀焼の伝統技術と独自の工夫により、伊賀焼の魅力を向上させて、新規需要を開拓し、市場においても長期間にわたり高い評価を得ていること。
③伊賀焼としての優位性を発揮するために、製造・流通・販売・情報発信について努力していること。