伊勢たくあん
認定品について ~三重ブランド「伊勢たくあん」とは~
伊勢たくあんは、江戸時代の後期に、伊勢市周辺の農家の副業として盛んに作られるようになました。明治期には関西方面でも販売され、更には、お伊勢参りの参拝者を通じて、伊勢の名物として全国にも知られるようになりました。
原材料となる「御薗大根」は、昭和初期に三重県度会郡御薗村(現在は伊勢市)でたくあん用として伝統的に栽培されていた品種を、三重県農業試験場(現農業研究所)が改良したもので、繊維質が豊富で歯ごたえが良く、乾燥すると甘みが増し、漬け込むと美しい黄金色になるのが特色です。
しかし、食習慣の変化からぬか漬けの消費は激減し、かつて3,000haあった御薗大根の生産面積は、平成のはじめには2haを切るまでに減少してしまいました。そこで、三重県漬物協同組合が中心となって、御薗大根栽培研究会を平成23年に発足させ、安定生産・品質向上を目指した栽培方法の研究、地元農業者への栽培推進・技術指導などに取り組んできた結果、現在では5ha程度まで回復しています。
地元で生産された御薗大根を「はさ掛け」して約2週間程度天日で乾燥し、米ぬか・塩・柿の皮・なすの葉・唐辛子を用いて漬込むことで、長期間常温で乳酸菌によって発酵・熟成させる昔から伝わる製法が守られています。
伊勢岩尾食品が評価されたポイント
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県(現農業研究所)がたくあん用として品種改良した、県産の「御薗大根」を原材料に使用していること。
Point2
栽培面積が大きく減少していた「御薗大根」を、製造者が中心となって、農業者への栽培推進・技術指導などに取り組み、栽培面積が着実に増加してきたこと。
Point3
天日乾燥させた「御薗大根」を、米ぬか・柿の葉など天然素材のみで漬込み、自然に発酵・熟成させる「伊勢たくあん」の伝統的な製法を守り続けていること。
Point4
他の漬物業者に対して、「伊勢たくあん」の伝統的な製造技術を伝承していること。
Point5
県内外からの観光客に、漬物の歴史や製法の特徴などを伝え販売していること。
「伊勢たくあん」のブランド認定に関する考え方
伊勢岩尾食品株式会社を認定事業者として「伊勢たくあん」を三重ブランド認定する際の評価ポイントに鑑み、今後の他事業者による「伊勢たくあん」の三重ブランド認定審査について、特に以下の点に留意することとします。
①三重県産「御薗大根」を天日による乾燥後、塩・米ぬか等の天然材料で漬け込む製法で生産していること。(製造方法は、三重県漬物協同組合が定める伝統の伊勢たくあんの基準に適合していること。)
②「御薗大根」の品質や収穫量を安定させる取組を行っていること。
③製造技術を伝承するための取組を行っていること。