四日市萬古焼
認定品について ~三重ブランド「四日市萬古焼」とは~
土鍋や急須に代表される「四日市萬古焼」は、江戸時代元文年間(1736~1740年)に、桑名商人・沼波弄山が茶の趣味が高じて、現在の三重郡朝日町小向に窯を築いて自ら茶器を焼き始めたのが始まりとされています。その作品が変わらずに永遠に残っていくようにとの願いを込めて「萬古」又は「萬古不易」の印を押したのが萬古焼のいわれとされています。四日市萬古焼は、俗に「萬古の印があることがいちばんの特徴」と言われるほどに形は多彩で、現在では、四日市市と菰野町を中心に100社以上の窯元が集積しています。
土鍋は萬古焼を代表する商品で、生産高は国内産土鍋の約80%を占めています。その特徴は耐熱性にあり、ガスレンジや炭火などの空焚きや直火に対しても、高い耐久性を発揮します。
また、急須も萬古焼を代表する商品の一つで、その中でも紫泥急須は昭和54年に通商産業大臣(現在の経済産業大臣)指定の伝統的工芸品に指定された、萬古焼のシンボルたる存在です。
①銀峯陶器が評価されたポイント
【平成24年度認定】土鍋(墨貫入鍋・花三島)
Point1
四日市萬古焼土鍋の大きな特徴である耐熱性に優れた陶土原料を厳選し、配合割合を季節・気温等の環境条件に対応させるなど、高品質な製品をつくるための製造技術に独自の工夫がある。
Point2
自社で原料の調製から焼成まで一貫生産を行うとともに、土鍋メーカーでは初めてISO9001を取得するなど、徹底した品質管理を行っている。
Point3
独自の流通システムを確立することにより、国内産土鍋市場においてトップのシェアがある
Point4
対象品目は、革新的な図柄を取り入れることで新規需要を開拓し、市場において確固たる地位を獲得し、長期間評価され続けている。
②醉月陶苑が評価されたポイント
【平成24年度認定】急須(紫泥急須)
Point1
四日市萬古焼急須の伝統的製法であるろくろ引きで、高品質な紫泥急須を生産する技術に加え、独自の装飾技法を使い芸術性を付加し、ブランド力を高めることで経営の安定化を図るというビジネスモデルを確立するとともに、後継者への技術継承ができる体制も整えている。
Point2
四日市萬古焼急須の伝統的な手法の一つである“型萬古”を元に陶芸初心者向け急須づくりキットを考案し、陶芸教室を行ったり、定期的に展示会やイベントを開催し、四日市萬古焼の普及に努めているほか、伊勢茶の事業者とも連携し、伊勢茶と急須文化の普及・発展に努めている。
③藤総製陶所が評価されたポイント
【平成24年度認定】急須(至高急須)
Point1
消費者目線で急須の研究を重ね、四日市萬古焼メーカーとして培ってきた伝統技法を随所に取り入れながら、従来の急須づくりの常識にとらわれずに独自の工夫で機能性を追求し、新規需要を開拓している。
Point2
販売チャネルを絞り込み、消費者とのコミュニケーションを重視した販売戦略をとることで、コアなファンづくりを行っている。
Point3
お茶教室を主催し、お茶と急須文化の普及と継承に尽力するとともに、伊勢茶事業者と連携し、伊勢茶のPRに貢献している。
【令和元年度認定】 急須(ひとしずく)
Point1
既認定品「至高急須」の独自性・主体性を維持しながら、現代人のライフスタイルに合わせて、蓋を付属させず、小容量でスタイリッシュな商品へと発展改良を行った商品であり、若い世代に対するお茶の普及に貢献している。
Point2
伝統を守るとともに、伝統を創る努力を継続して、四日市萬古焼の新たな可能性を切り開いている。
④華月が評価されたポイント
【平成29年度認定】炊飯土鍋(大黒ごはん鍋)
Point1
高い耐熱性能や自社開発の釉薬によって、大黒ごはん鍋は、空焚きや濡れたまま加熱しても割れないことと、ごはんがこびりつかないことや吹きこぼれない形状など、手入れのしやすさにも配慮して改良が続けられてきている。
Point2
大黒ごはん鍋は、白米や玄米を一粒一粒ふっくらと炊き上げることができ、プロの料理人等に愛用されている。
「四日市萬古焼」のブランド認定に関する考え方
平成24年度における、銀峯陶器株式会社、醉月陶苑、有限会社藤総製陶所を認定事業者として「四日市萬古焼」の三重ブランド認定に際しての評価のポイントに鑑み、今後の他事業者による「四日市萬古焼」の三重ブランド認定審査に際しては、特に以下の点に留意することとします。
①四日市萬古焼の特徴(土鍋の場合;耐熱性が高く空焚きしても割れにくい。急須の場合;お茶をおいしく飲むための工夫がある)を生かした製品であること。
②四日市萬古焼の伝統技術の継承とともに、独自の工夫、革新的な取り組みにより、四日市萬古焼の魅力を向上させて、需要を開拓し、市場においても長期間にわたって高い評価を得ていること。
③四日市萬古焼としての優位性を発揮するために、製造・流通・販売・情報発信について努力していること。